「職場のエアコンが寒すぎてつらい…。でも派遣の私が温度のことを言ってもいいのかな」
冷房の効いたオフィスで一日中座っていると、手足が冷えきって体調を崩してしまうこともあります。とはいえ、エアコンの温度は職場の全員に関わることなので、派遣社員の立場で言い出しにくいと感じる方も多いでしょう。
この記事では、職場のエアコンが寒いときに知っておきたい室温の法律上の基準と、派遣会社の営業担当への相談の流れ・伝え方の例文、自分でできる寒さ対策を解説します。エアコンの寒さで体調を崩したときの休み方や、労災になるかどうかの考え方も取り上げます。


職場のエアコンの室温は18度以上28度以下が基準
職場のエアコンの室温には、法律上の基準があります。エアコンなどの空気調和設備があるオフィスでは、室温を18度以上28度以下にするよう努めることが、事務所衛生基準規則で事業者に求められています。
空調のあるオフィスは18度以上28度以下
事務所衛生基準規則第5条第3項は、空気調和設備を設けている事業者に対して、室の気温を18度以上28度以下、相対湿度を40%以上70%以下にするよう努めることを定めています。以前の基準は17度以上28度以下でしたが、2022年4月1日に施行された改正で、下限が18度に引き上げられました。
第5条第3項は「努めなければならない」と定めた努力義務なので、室温が18度を下回ったからといって、すぐに違法になるわけではありません。それでも、室温が18度を下回るようなら基準を外れているので、改善を相談する根拠になります。
冷房で外気温より著しく低くするのは禁止
事務所衛生基準規則第4条第2項は、事業者が室を冷房する場合に、室の気温を外気温より著しく低くしてはならないと定めています。第4条第2項は努力義務ではなく、事業者の義務です。ただし、電子計算機などを置いた部屋で、作業者に保温のための衣類などを着用させた場合は例外とされています。
なお、室温が10度以下になる場合は、事業者は暖房などの措置をとらなければなりません(第4条第1項)。
また、同じ規則の第5条第2項は、空調から室内に流れ込む空気が特定の労働者に直接・継続して当たらないようにすることを事業者に義務づけています。吹き出し口の真下で冷たい風が当たり続けている状態は、席や風向きの調整をお願いする根拠になります。
室温の基準を守るのは派遣先
派遣社員が働くオフィスの室温について、事務所衛生基準規則の義務を負うのは派遣先です。労働者派遣法第45条により、職場の設備や作業環境に関する労働安全衛生法の措置は、派遣先が事業者として講じることになっているからです。派遣会社は、あなたから相談を受けて派遣先に伝え、派遣先と一緒に解決を図る役割を担います。
職場のエアコンが寒いときは派遣会社の営業担当に相談
職場のエアコンが寒いときは、派遣先の上司に直接言う前に、派遣会社の営業担当に相談するのがおすすめです。営業担当を間に挟むことで、周りの社員に角が立ちにくく、席替えや風よけなどの提案をしてもらえることがあります。
エアコンの相談の流れ
派遣会社の営業担当にエアコンの寒さを相談するときは、次の流れで進めるとスムーズです。
- 寒いと感じる時間帯や場所、体調への影響をメモしておく
- 派遣会社の営業担当に電話やメールで相談する
- 営業担当が派遣先の担当者に伝え、対応を話し合う
- 席替えや風よけ、設定温度の見直しなど、決まった対応を営業担当から聞く
派遣先の上司に直接言うと、「自社の社員以外の意見」として軽く受け止められてしまうこともあります。派遣会社の営業担当から伝えてもらうほうが、派遣先も職場全体の問題として受け止めやすくなります。
営業担当への伝え方の例文
営業担当に相談するときは、「寒い」だけでなく、どこで・どのくらい・体調にどう影響しているかを具体的に伝えましょう。
「お疲れさまです。派遣先の席がちょうどエアコンの吹き出し口の真下で、冷たい風が直接当たっています。ひざ掛けやカーディガンで対策していますが、午後になると手足が冷えて、先週は風邪をひいてしまいました。席の位置や風向きを調整していただけないか、派遣先に相談していただけますか。」
自分でも対策していることを添えると、わがままではなく困っていることが伝わりやすくなります。
エアコンの相談をしても温度が変わらないとき
エアコンの温度は、誰が悪いとも言えない問題です。同じ職場に「暑い」と感じている人もいるため、派遣会社に相談しても設定温度が変わらないことはあります。温度を上げた結果、ほかの人が暑さで体調を崩してしまっては本末転倒です。
設定温度が変わらなくても、席替えや風よけの設置、ブランケットの使用の許可など、あなた個人に向けた対応ならお願いしやすいものです。すべてを思いどおりにするのは難しいので、ある程度の妥協も必要ですが、営業担当が相談にまったく取り合ってくれないなら、派遣会社の対応を見直すサインかもしれません。

職場のエアコンが寒いときに自分でできる対策
職場のエアコンの温度が変わらなくても、自分でできる寒さ対策で体の冷えはかなり和らげられます。派遣先の服装のルールを確認したうえで、取り入れやすいものから試してみましょう。
- カーディガンやブランケット、ひざ掛けを職場に置いておく
- 厚手の靴下やレッグウォーマーで足元を温める
- 首・手首・足首の「3つの首」をストールやアームウォーマーで覆う
- 温かい飲み物を用意し、冷たい飲み物を控える
- 休憩時間に歩いたりストレッチをしたりして体を動かす
- 貼るカイロを腰やお腹に使う
通勤時の暑さとオフィスの寒さの差が大きい夏場は、脱ぎ着しやすい服装にしておくと体温を調整しやすくなります。
職場のエアコンの寒さで体調を崩したとき
職場のエアコンの寒さで体調を崩したときは、無理をせずに休むことも大切です。冷房による体調不良の特徴と、休むときの連絡の仕方、労災になるかどうかの考え方を整理します。
冷房病(クーラー病)の症状
冷房の効いた室内と暑い屋外を行き来すると、温度差で自律神経が乱れ、頭痛・めまい・肩こり・食欲不振・だるさなどの症状が出ることがあります。一般に冷房病やクーラー病と呼ばれ、夏バテや冷え性の症状とよく似ています。冷房病は正式な病名ではありませんが、つらい症状が続くときは内科などを受診しましょう。
体調不良で休むときは派遣会社に連絡
体調を崩して派遣先を休むときは、派遣会社が決めている連絡のルールに従いましょう。派遣会社と派遣先の両方に連絡する、派遣会社だけに連絡すれば派遣先へ伝えてもらえる、など派遣会社ごとにルールが違うため、就業前に受け取った案内を確認しておくと安心です。始業前のなるべく早い時間に連絡し、年次有給休暇が残っていれば、休んだ日に充てられるかも派遣会社に確認しましょう。
冷房による体調不良が労災になるか
仕事が原因の病気は労災保険の対象になりますが、オフィスの冷房で風邪をひいた場合に、業務が原因と認められるのは一般には難しいと考えられます。風邪は職場以外でもかかる病気で、エアコンの寒さだけが原因だと示しにくいためです。
一方、仕事中に体調不良で倒れてけがをした場合などは、状況によって労災と判断される可能性があります。労災にあたるか迷ったときは、派遣会社に伝えたうえで、労働基準監督署に相談しましょう。
職場のエアコンが寒いときの対処法まとめ
職場のエアコンが寒いときは、我慢し続けずに派遣会社の営業担当に相談しましょう。空調のあるオフィスでは、室温を18度以上28度以下にするよう努めることが派遣先に求められており、冷房で外気温より著しく低くすることは禁じられています。
一方で、エアコンの温度は職場の全員に関わるため、設定温度がすぐに変わるとは限りません。席替えや風よけの設置など個人に向けた対応をお願いしつつ、カーディガンやひざ掛けなど自分でできる寒さ対策も組み合わせるのが現実的です。
体調を崩してしまったら、無理をせず派遣会社のルールに沿って休みましょう。あなたが快適に働ける環境を整えることは、派遣先で長く活躍するための大切な準備です。














