「週3日の派遣だけだと収入が心もとない…。別の派遣会社でも働けたらいいのに」
派遣の仕事が週2~3日のシフト制だと、空いている日をもう1つの仕事で埋めたくなりますよね。派遣会社を2社以上掛け持ちして働くことはできますが、労働時間の数え方や社会保険・雇用保険の加入先など、1社で働くときにはなかった決まりが出てきます。
この記事では、派遣会社を掛け持ちして2つ以上の派遣先で働く方法と、社会保険・雇用保険の扱い、仕事を探すために派遣会社の登録を掛け持ちするメリット・デメリットを解説します。


派遣会社を掛け持ちして2つ以上の派遣先で働く方法
シフト制の派遣先では、2つ以上の派遣会社を掛け持ちして働いている人が実は多くいます。副業を一律に禁じている派遣会社は少なく、「派遣とアルバイト」や「派遣と派遣」の掛け持ちで働いている人もいます。派遣会社を掛け持ちして2つの派遣先で働く方法を紹介しましょう。
シフト制の派遣求人に応募する
派遣はアルバイトのようにシフト制で働くこともできます。求人票に、次のような就業日の条件が書かれている仕事が狙い目です。
【就業日】月~金曜日の間の週2~3日のシフト制として勤務
【休日】土日祝日+週2~3日
派遣社員は、派遣会社から就業条件明示書で就業日や就業時間を明示されてから働き始めます。残業や休日出勤があるかどうかも事前に分かるため、スケジュールを管理しやすく、2社以上の派遣先で働く予定を組みやすいのが派遣の特徴です。
派遣の掛け持ちは別々の派遣会社で組むのが一般的
2つの派遣先で働くとき、同じ派遣会社から2か所を紹介してもらうケースはあまり多くありません。雇い主が同じ1社になるため、2つの派遣先の労働時間がそのまま合計され、1日8時間・週40時間を超えた部分には派遣会社が割増賃金を払う必要があるからです。派遣会社としては、2つの派遣先を合わせてフルタイムを超える組み合わせを紹介しにくいのが実情です。
別々の派遣会社で働く場合も、労働時間は2社の合計で数えます(労働基準法第38条第1項)。2社を合わせて1日8時間・週40時間を超えれば、超えた部分は残業として割増賃金の対象になります。どちらの会社が割増賃金を払うかは契約の順番や残業の発生の仕方で決まるため、派遣会社を掛け持ちするときは、両方の派遣会社にもう1社での勤務日と時間を伝えておきましょう。
派遣会社の掛け持ちは、仕事のマンネリ化を防いだり収入を増やしたりするのには向いています。一方で、休みが少なくなるぶん体への負担は大きくなります。1つの派遣先で仕事に集中するほうが、派遣先からの評価が高まり、長期の就業や時給アップにつながりやすい面もあります。掛け持ちをするなら、無理のないスケジュールを組みましょう。
派遣会社の掛け持ちで働くときの社会保険・雇用保険
派遣会社を掛け持ちして働くと、健康保険・厚生年金保険(社会保険)と雇用保険は、1社で働くときと違うルールで加入先が決まります。社会保険は派遣会社ごとに加入を判断し、雇用保険は原則1社だけで加入します。
社会保険は派遣会社ごとに加入を判断
健康保険と厚生年金保険は、2社の労働時間や収入を合計して加入を決めるのではなく、派遣会社ごとに加入条件を満たすかを判断します。週の所定労働時間と月の所定労働日数が通常の労働者の4分の3以上なら加入し、4分の3未満でも週20時間以上などの条件を満たす短時間労働者は加入します。短時間労働者の条件は制度改正で順次見直されているため、最新の条件は厚生労働省の特設サイトで確認してください。
どちらの派遣会社でも単独で条件を満たさないときは、2社の労働時間を合計しても社会保険には加入しません。社会保険に加入しない場合は、国民健康保険と国民年金に自分で加入するか、家族の扶養に入ることになります。
二以上事業所勤務届
2社とも社会保険の加入条件を満たしたときは、あなた自身が「健康保険・厚生年金保険 被保険者所属選択・二以上事業所勤務届」を、事実が発生してから10日以内に年金事務所などへ提出します。保険料は2社の報酬を合算した額をもとに決まり、それぞれの報酬額に応じて2社に按分されます。
参考:被保険者が2カ所以上の適用事業所に勤務するようになったときの手続き(日本年金機構)
扶養の年収130万円は2社の合計
「年収130万円」は、自分で社会保険に入るかどうかの基準ではなく、家族の健康保険の扶養に入れるかどうかの基準です(原則として年収130万円未満なら扶養に入れます。19歳以上23歳未満の方は150万円未満です)。扶養の判定では、2社の収入を合計した見込みの年収で判断されるため、派遣会社を掛け持ちすると扶養の基準を超えやすくなります。扶養に入っている方は、2社の収入の合計を定期的に確認しておきましょう。
雇用保険は主な賃金を受ける1社だけ
雇用保険は、2社で同時に加入することはできません。派遣社員は、週20時間以上・31日以上の雇用見込みといった条件を満たす会社のうち、主な賃金を受けている1社で雇用保険に加入します。失業手当の額は加入している会社の賃金をもとに計算されます。どちらの派遣会社が「主な賃金を受けている会社」にあたるかは、両方の派遣会社に勤務日数と収入を伝えて確認しておきましょう。
65歳以上のマルチジョブホルダー制度
65歳以上の方には、雇用保険の加入に例外があるのが特徴です。2つの勤務先のそれぞれで週5時間以上20時間未満・雇用見込み31日以上で働き、2社の所定労働時間を合計して週20時間以上になる場合は、本人がハローワークに申し出ることで雇用保険に加入できます。65歳以上の方が複数の勤務先で雇用保険に加入できる仕組みは雇用保険マルチジョブホルダー制度と呼ばれ、2022年1月に始まりました。
参考:雇用保険マルチジョブホルダー制度について(厚生労働省)
2028年10月から週10時間以上に拡大
2024年に成立した改正雇用保険法により、2028年10月1日から、雇用保険に加入する週の所定労働時間の条件が「20時間以上」から「10時間以上」に広がります。週10時間以上20時間未満のシフトで働く派遣社員も、雇用保険の対象になる予定です。
参考:雇用保険法等の一部を改正する法律等の概要(厚生労働省)
派遣会社独自の福利厚生はどちらも使える
無料のスキルアップ講座やフィットネスクラブの割引など、派遣会社が独自に用意している福利厚生サービスは、掛け持ちしていても両方の派遣会社のものを利用できます。交通費は、同一労働同一賃金のルールのもとで派遣会社ごとに扱いが決められており、実費で支給する会社と時給に含めて払う会社があります。福利厚生の充実度は派遣会社ごとに差があるため、掛け持ちする派遣会社を選ぶときの判断材料にしましょう。
派遣会社の登録を掛け持ちするメリット・デメリット
派遣会社の掛け持ちには、2社で同時に働く掛け持ちのほかに、仕事を探すために複数の派遣会社に登録する掛け持ちもあります。登録の掛け持ちは多くの派遣社員がしていることで、上手に使えば仕事探しの幅が広がります。
登録の掛け持ちのメリット
得意な職種や取引のある派遣先は、派遣会社によって違うものです。2~3社に登録しておくと、紹介してもらえる求人の幅が広がり、時給や勤務地を比べて選べるようになります。契約が終了したときも、別の派遣会社から次の仕事の紹介を受けやすく、仕事のない期間を短くできます。
登録の掛け持ちのデメリット
登録する派遣会社が増えると、それぞれの営業担当からの電話やメールも増え、連絡の管理が大変になります。登録会や面談のたびに時間もかかります。やり取りが追いつかないと返事が遅れて信用を落としかねないため、実際に連絡を取り合う派遣会社は2~3社に絞るのがおすすめです。
同じ求人への重複応募は避ける
同じ派遣先の求人を、複数の派遣会社が同時に扱っていることがあります。別々の派遣会社から同じ派遣先に応募すると、派遣先に同じ人の情報が2回届き、派遣会社同士の調整も必要になるため、トラブルのもとです。応募する前に派遣先の会社名や勤務地を確認し、すでに別の派遣会社で応募している仕事なら、営業担当に応募済みであることを伝えましょう。

派遣会社の掛け持ちまとめ
派遣会社を2社以上掛け持ちして働くことはできます。シフト制の派遣求人を組み合わせれば、空いている日を有効に使って収入を増やせます。ただし、労働時間は2社の合計で数えるため、両方の派遣会社にもう1社での勤務日と時間を伝えておくことが大切です。
社会保険は派遣会社ごとに加入を判断し、2社とも加入するなら二以上事業所勤務届が必要です。雇用保険は主な賃金を受ける1社で加入し、2028年10月からは週10時間以上の勤務も対象になります。扶養に入っている方は、2社の収入の合計にも気を配りましょう。
働く掛け持ちまではしなくても、派遣会社の登録を2~3社に広げておくと、次の仕事探しがぐっと楽になります。あなたの体調と生活に合った働き方を、派遣会社の営業担当と相談しながら見つけていきましょう。

















